Nature ハイライト

細胞:長寿因子DAF-16d/f

Nature 466, 7305

FOXO(forkhead box O)転写因子は、インスリン/IGF-1シグナル伝達(IIS)経路のような細胞機能調節因子の主要な収束点の1つであることが明らかになっている。IISは、寿命の調節などのさまざまな生物学的過程にかかわっており、線虫(Caenorhabditis elegans)ではFOXO転写因子DAF-16aがIIS経路で重要な役割を担っている。DAF-16aは、2つあるアイソフォームの1つで、線虫の寿命、ストレス応答やdauer耐性幼虫としての休眠状態を調節するが、DAF-16がこのように多様な生物学的過程の調節を特異的に行うことを可能にする仕組みはわかっていなかった。今回、DAF-16の今まで知られていなかったアイソフォームで、やはり寿命の調節に重要であるDAF-16d/fが見つかった。遺伝子発現操作などの一連の実験から、DAF-16アイソフォームのいろいろな組み合わせによって生じる相互作用が、線虫の個体全体でIISが仲介する過程を微調整していることが示唆された。線虫では、単一の遺伝子から生じる複数のアイソフォームを用いて、IISが仲介する過程を微調整しているらしい。これは、哺乳類では4種のFOXO遺伝子が別々に、あるいは重複して機能しているのと対照的である。

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