Nature ハイライト

生態:多様な生態系がニッチを埋める

Nature 472, 7341

生物多様性の保全によって、生態系が栄養を保持して生産性を維持する能力が向上することが、近年の複数の研究によって示されているが、これに対しては異論も多い。その理由の1つは、この現象を説明する機構について直接的な証拠がまだ得られていないというものだ。今回B Cardinaleは、モデル河川系で藻類の種数を操作する実験で、そうした機構の1つを示している。窒素栄養の取り込み量は、流水環境や撹乱状態の変化に応じて種の豊かさが増すのに伴って、直線的に増加した。しかし、ニッチ構造を実験的に排除すると、その関係は消失した。このことは、種数の多い環境では、種数の少ない環境と比較して環境中のニッチ機会が多く利用されており、多様性の高い系ほど窒素などの生物活性資源をより多く捕捉できることを示唆している。

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