Nature ハイライト
Cover Story:眼を作り出す:マウス幹細胞から自律的に作り出された眼に似た構造と層状の網膜組織
Nature 472, 7341
Credit: M. Eiraku and Y.Sasai at RIKEN Center for Developmental Biology
器官形成の基盤となっているのは多数の細胞相互作用の協調で、こうした協調によって発生中の組織を形作るのに必要な細胞の集団的な挙動が生み出される。笹井芳樹(理化学研究所)たちは、三次元細胞培養系を開発し、これを使ってマウス胚性幹細胞塊を浮遊状態で培養したところ、うまく自己組織化して、眼杯に似た形の層構造が形成された。眼杯は袋状の構造で、胚発生の間に網膜の内層と外層を形成する。さらに3D培養を続けると、この眼杯から、新生マウスの目に見られるような完全な層を持つ網膜組織が形成された。この方法は、網膜を修復する幹細胞治療に重要なかかわりを持つと考えられる。表紙に示した「眼杯」の画像は、in vitroで形成された眼杯の多光子顕微鏡画像から作製されたもの(Article p.51, N&V p.42)。
2011年4月7日号の Nature ハイライト
医学:心疾患に肝心なのは腸内細菌叢
医学:病的フィブリノーゲンの構造
フォトニクス:光を遅らせるシリコンフィルム
工学:ダイヤモンドに裏打ちされたグラフェントランジスター
地球:チベット高原は南北に分かれている
地球:サンアンドレアス断層の弱い部分
生態:多様な生態系がニッチを埋める
神経:Rho GTPアーゼの活性と樹状細胞の可塑性
遺伝:植物の熱ストレスへの対処法