Nature ハイライト 生理:脂質シグナルと寿命の延長 2011年5月12日 Nature 473, 7346 線虫(Caenorhabditis elegans)などのモデル生物では、食餌制限によって寿命を延ばすことができる。寿命延長にかかわる重要な要素はいくつか見つかっているが、線虫の代謝応答を協調させるシグナルについてはほとんど解明されていない。内在性カンナビノイド(EC)系は、哺乳類での栄養素の取り込みとエネルギーバランスを調節することが知られており、こういう代謝応答協調因子の候補の1つとなっている。老化研究の重要なモデル動物である線虫にはEC系とカンナビノイド受容体は存在しないが、今回、これの代わりとなっている可能性のある系が同定された。線虫では、脂質由来のシグナル伝達分子群の1つであるN-アシルエタノールアミン(NAE)の量が食餌制限によって減少し、NAEの減少だけで寿命が延長される。哺乳類では、アラキドン酸を含むNAEの作用の多く(ただし全部ではない)はカンナビノイド受容体を介して生じる。 2011年5月12日号の Nature ハイライト 医学:ヒト腸内微生物の秩序を探る 細胞:分泌輸送を監視する 宇宙:逆行するホットジュピターの形成 地球:マントル深部にある密度の高いメルト 代謝:珪藻類では逆の役割を持つ尿素サイクル 代謝:細菌プランクトンによる炭素および硫黄の隔離 医学:代謝物の「助っ人」を使って永続伝播型病原菌を殺す仕組み 生理:脂質シグナルと寿命の延長 医学:Notchシグナル伝達と腫瘍抑制 目次へ戻る