Nature ハイライト

脳:ヒトの脳での遺伝子発現

Nature 478, 7370

脳では、その発生・発達や可塑性、そして進行中の神経発生に至るまで、すべてが遺伝子発現によって制御および指示されているが、一生を通じて脳の遺伝子の転写が経時的にどのような動態をとるのかはほとんどわかっていない。今週号では2つの研究グループが、出生前から80歳を越える、さまざまなヒト脳標本から作成した大規模な遺伝子発現データベースについて報告している。Colantuoniたちは、前頭前皮質に焦点を当て、発生・発達の全体を通じて発現パターンの顕著な変動が見られることを見いだした。しかし、異なる人種の標本間には多数の遺伝的多型が見られるにもかかわらず、転写にはそれらを越えた一貫性のある分子的基本構造があることがわかった。またKangたちは、より包括的な経時変化のようすをとらえている。彼らは16の異なる脳領域での遺伝子発現を調べて、最大の時空間的な変動は出生前に起こり、歳を取るにつれて脳領域のトランスクリプトームの変動が収束していくことを明らかにした。

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