Nature ハイライト

化学:確認された鉄–酸素中間体

Nature 478, 7370

鉄(III)–ペルオキソ、鉄(III)–ヒドロペルオキソ、鉄(IV)–オキソという鉄–酸素種は、ヘム鉄酵素や非ヘム鉄酵素による二酸素活性化の触媒サイクルでよく検出される重要な中間体である。今回、サイドオン型の単核非ヘム鉄(III)–ペルオキソ錯体の高分解能結晶構造が決定され、鉄(III)–ペルオキソ錯体が鉄(III)–ヒドロペルオキソ錯体にきれいに変換される一連の化学反応が報告されている。これら3種すべての鉄種が分光法で評価され、相対的反応性を調べることによって、鉄(III)–ヒドロペルオキソ種が、鉄を含む酵素による求核反応、求電子反応のいずれにおいても有効な酸化剤となることが実証されている。今回の研究は、生物学的に重要な一連の鉄–酸素中間体が、単純だが汎用的な大環状配位子を持つ合成鉄錯体をどのように利用しているかを明らかにしている。

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