Nature ハイライト 医学:SYKは網膜芽細胞腫の治療標的となる 2012年1月19日 Nature 481, 7381 網膜芽細胞腫は、まれだが悪性度の高い小児がんで、RB1遺伝子の欠損によって網膜に発生する。今回、網膜芽細胞腫の4検体の全ゲノム塩基配列が解読され、網膜芽細胞腫のゲノムは比較的安定で、変異率は報告されたヒトのがんの中で最低の部類に入り、他の腫瘍抑制因子/発がん経路の変異は意外なほど少ないことが明らかになった。しかし、RB1の欠損には、いくつかの発がん経路のエピジェネティックな脱調節を伴っている。重要なのは、網膜芽細胞腫ではがん原遺伝子SYKの発現が増加していることで、SYKは腫瘍細胞の生存に必要である。そして、SYKの低分子阻害剤は、in vitroおよびin vivoで網膜芽細胞腫の腫瘍細胞死を誘導した。 2012年1月19日号の Nature ハイライト 環境:アマゾンは負担に耐えられるか 医学:SYKは網膜芽細胞腫の治療標的となる 宇宙:暗黒物質からなる遠方の銀河の性質が明らかになった 化学:界面張力のキラル制御で自己集合を操る 進化:段階的に複雑度を高める方法 医学:ヒトタンパク質とHIVタンパク質の相互作用 医学:抗HIV標的となるVif–CBF–β相互作用 医学:ER+腫瘍の臨床転帰 目次へ戻る