Nature ハイライト 進化:段階的に複雑度を高める方法 2012年1月19日 Nature 481, 7381 祖先タンパク質の復元は、『ジュラシック・パーク』の現実版として、現在のタンパク質をコードする遺伝子から推定した塩基配列を持つ合成DNAを使って行われている。Finniganたちはこの考え方をさらに一歩進め、多タンパク質複合体の例として、プロトンポンプであるV型ATPアーゼの膜貫通部の環状構造を選び、数百万年にわたる進化を模倣する手順で再構築した。このタンパク質複合体の「祖先型」にあたる、2成分からなるタンパク質から出発し、遺伝子重複と単純な退行性の変異を起こすだけで、V型ATPアーゼの複雑度を高くするのに十分なことがわかった。このような漸進的な過程を経ることで、菌類で見られる3成分からなる環状複合体や他の生物に見られるもっと複雑な環状複合体の進化は可能であり、複数の変異が組み合わさるという低確率の現象によって新たな機能が生じる必要はないことが明らかになった。 2012年1月19日号の Nature ハイライト 環境:アマゾンは負担に耐えられるか 医学:SYKは網膜芽細胞腫の治療標的となる 宇宙:暗黒物質からなる遠方の銀河の性質が明らかになった 化学:界面張力のキラル制御で自己集合を操る 進化:段階的に複雑度を高める方法 医学:ヒトタンパク質とHIVタンパク質の相互作用 医学:抗HIV標的となるVif–CBF–β相互作用 医学:ER+腫瘍の臨床転帰 目次へ戻る