Nature ハイライト 計測:トンネリング時間を計る 2012年5月17日 Nature 485, 7398 粒子が障壁を通過するトンネリングは、最も基本的で、かつ広く見られる量子過程の1つである。量子力学が現れた初期の頃から盛んに議論されてきた問題の1つが、トンネリングと障壁の外側にある粒子のダイナミクスとの関係である。今回Shafirたちは、強いレーザー場により原子や分子からの電子トンネリングを誘起した後に、弱いプローブ場を用いてトンネリング後の電子を横方向に誘導させることで、この問題について調べた。解き放たれた電子は、親イオンと再衝突するとアト秒光バーストを発生する。この方向変換の光バーストへの影響を調べれば、トンネル障壁から最初に電子が脱出した際の時間尺度が得られ、測定感度はわずかな時間差を分解するのに十分なだけ高い。この研究は、原子や分子における多電子再配列を時間的・空間的に直接分解する一般的な手法を提供している。 2012年5月17日号の Nature ハイライト 宇宙:活動的な火星 計測:トンネリング時間を計る 生態:侵入種の低木は秋の生育期間が長い 遺伝:精神疾患における遺伝子量の影響 医用工学:麻痺した腕でも物がつかめる 医用工学:四肢麻痺患者でもロボットアームで物をつかめる 遺伝:明らかになったゲノムの空間的構造 目次へ戻る