Nature ハイライト 進化:発生は進化の選択肢を作り出す 2007年9月27日 Nature 449, 7161 生物多様性を作り出すのに生態が重要な要因であることは明らかである。だが、発生にも進化を導くような要因が存在するのだろうか。「エボデボ」研究は、さまざまな動植物の発生過程のその祖先種の類縁関係による違いを調べて、この疑問に答えることを目指している。発生と進化のこうした結びつきを検証するのに、マウスの臼歯の配列状態は有効な材料となる。マウスの第一臼歯は、その後ろの第二臼歯よりも大きく、第二臼歯は一番奥の第三臼歯よりも大きい。Kavanaghたちは今回、このことを実験的に調べ、臼歯の発生が抑制カスケードモデルに従っていることを見いだした。この結果から、食餌が歯の進化の推進力である一方で、発生は自然選択に応じることが可能な複数の選択肢を作り出すことがわかった。そして、厄介な問題を引き起こしやすいヒトの親知らずに関していえば、その「厄介さ」の元凶はヒトでの抑制カスケードの弱さにあるのかもしれない。 2007年9月27日号の Nature ハイライト 細胞:顔の広い細胞 ゲノム:解読4番目の被子植物はブドウ 進化:発生は進化の選択肢を作り出す 細胞:DNAから「U」を閉め出す 物性:加圧されたナトリウム 気候:暖水域の役割 考古:最古の水田? 生理:アンドロステノンを嗅ぐ 細胞:分化の逆戻り 目次へ戻る