Nature ハイライト
海洋:窒素収支の問題
Nature 488, 7411
直接測定に基づいて均衡のとれた海洋の窒素収支を示す試みは困難とされており、窒素の損失が窒素(N2)の固定による増加を上回っている。今回J LaRoche たちは、この問題を生じさせたと思われる原因について報告している。彼らは、広く用いられている海洋の窒素固定速度の測定法は、ジアゾ栄養生物と呼ばれる微生物の寄与を、かなり過小評価しており、またその過小評価の程度にばらつきがあると示唆している。このことは、新しく開発された方法を用いて大西洋で行われた固定窒素測定との比較によって明らかになった。この知見をほかの大洋盆に外挿できれば、窒素固定速度は現在の推定値のほぼ2倍になり、窒素の損失と増加の間のギャップをかなり狭めることになるだろう。
2012年8月16日号の Nature ハイライト
医学:新しい種類の抗がん治療標的
脳:皮質の介在ニューロンを種類分けする
宇宙:銀河団の冷却流
物理:核スピンを使う量子コンピューティング
海洋:窒素収支の問題
気候:南太平洋上の嵐雲
遺伝:アメリカ大陸への道
脳:神経細胞の細胞ごとの違い
生物物理:好中球がローリングし続ける秘訣
発生:エピジェネティックな幹細胞プログラム化