Nature ハイライト

生物物理:好中球がローリングし続ける秘訣

Nature 488, 7411

炎症の際には、微生物感染と闘う白血球の一種である好中球が血管内皮上を転がって移動し(この現象を「ローリング」と呼ぶ)、止まって組織へと入っていく。高いずり応力の下で好中球がローリングする詳しい仕組みは、まだ完全に解明されていない。K Leyたちは、ローリングする好中球の前方に、古代の投石器に似ていて「スリング」と名付けた新しい構造があり、これによって接着基質の「カーペット」が作られ、ローリングする好中球の前方に敷かれていくことを見つけた。スリングは、膜が細く伸びたテザーという構造から生じたもので、接着分子PSGL-1をところどころに発現し、そのおかげで内皮から段階的に剥がれていく。

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