Nature ハイライト
脳:神経細胞の細胞ごとの違い
Nature 488, 7411
脳の複雑さは主に、脳を構成するニューロンの種類が多様であることによっているが、同じ種類のニューロン群内での機能の不均一性については、いまだに解明が進んでいない。今回T Margrieたちは嗅覚系に注目して、同一の嗅糸球に所属する僧帽細胞、つまり共通する1種類の嗅覚受容細胞からの入力を受ける僧帽細胞は、HCN2イオンチャネルのサブユニットの発現レベルが同程度であり、したがってニューロンの興奮性も同程度であることを明らかにしている。ほかの嗅糸球につながる脳回路中の僧帽細胞は生物物理学的プロファイルが異なっており、このことから、特定の形態群に属するニューロンに本来備わっている多様性は、処理する情報のわずかな違いに局所的回路が機能的に適応したことを反映しているのではないかと考えられる。
2012年8月16日号の Nature ハイライト
医学:新しい種類の抗がん治療標的
脳:皮質の介在ニューロンを種類分けする
宇宙:銀河団の冷却流
物理:核スピンを使う量子コンピューティング
海洋:窒素収支の問題
気候:南太平洋上の嵐雲
遺伝:アメリカ大陸への道
脳:神経細胞の細胞ごとの違い
生物物理:好中球がローリングし続ける秘訣
発生:エピジェネティックな幹細胞プログラム化