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Cover Story:メーザーの再来: 机の上の「電波レーザー」の使い道

Nature 488, 7411

黄色のポンプ光で後方から照らされたメーザー結晶。
黄色のポンプ光で後方から照らされたメーザー結晶。 | 拡大する

Credit: Courtesy of NPL

メーザーは、レーザーのマイクロ波周波数領域での先輩に当たり、今は広く普及しているレーザーも、かつては「光メーザー」と呼ばれていたこともあった。メーザーはレーザーに比べて技術的な影響はほとんどなかったが、その主な理由は、扱いが不便であったことである。例えば、メーザーには、作動条件として真空や低温が必要なことが多い。このような障害を克服すれば、メーザーに基づく重要な技術革新につながる道が開かれる可能性があり、そうした中には分子生物学から電波天文学までの多様な科学研究分野における非常に高感度の測定などが考えられる。レーザーの歴史を手本として考察すれば、まだ考えられたこともなかったような応用が出てくるかもしれない。今回、M Oxborrow、J BreezeとN Alfordは、有機分子結晶を使って室温で動作する固体メーザーを開発した。これは科学技術研究手段としてのメーザーの可能性を高めるものとなりそうだ。表紙はサファイアリング内部のメーザー結晶である。(Letter p.353; N&V p.285)

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