Nature ハイライト
Cover Story:メーザーの再来: 机の上の「電波レーザー」の使い道
Nature 488, 7411
メーザーは、レーザーのマイクロ波周波数領域での先輩に当たり、今は広く普及しているレーザーも、かつては「光メーザー」と呼ばれていたこともあった。メーザーはレーザーに比べて技術的な影響はほとんどなかったが、その主な理由は、扱いが不便であったことである。例えば、メーザーには、作動条件として真空や低温が必要なことが多い。このような障害を克服すれば、メーザーに基づく重要な技術革新につながる道が開かれる可能性があり、そうした中には分子生物学から電波天文学までの多様な科学研究分野における非常に高感度の測定などが考えられる。レーザーの歴史を手本として考察すれば、まだ考えられたこともなかったような応用が出てくるかもしれない。今回、M Oxborrow、J BreezeとN Alfordは、有機分子結晶を使って室温で動作する固体メーザーを開発した。これは科学技術研究手段としてのメーザーの可能性を高めるものとなりそうだ。表紙はサファイアリング内部のメーザー結晶である。(Letter p.353; N&V p.285)
2012年8月16日号の Nature ハイライト
医学:新しい種類の抗がん治療標的
脳:皮質の介在ニューロンを種類分けする
宇宙:銀河団の冷却流
物理:核スピンを使う量子コンピューティング
海洋:窒素収支の問題
気候:南太平洋上の嵐雲
遺伝:アメリカ大陸への道
脳:神経細胞の細胞ごとの違い
生物物理:好中球がローリングし続ける秘訣
発生:エピジェネティックな幹細胞プログラム化