Nature ハイライト 生理:痛いところに効く 2007年10月4日 Nature 449, 7162 局所麻酔薬のほとんどがもつ欠点は、作用が非特異的なことだ。局所麻酔薬は、脂質親和性が高いために、実質上すべてのニューロンに入り込むことが可能で、細胞膜のナトリウムチャネルを無差別に遮断するのである。痛覚感知ニューロンの活性を特異的に遮断して、他の知覚ニューロンや運動ニューロンには影響を与えないようにできれば、もっと標的を絞った局所麻酔が可能となるだろう。この可能性についてBinshtokたちは、リドカインの誘導体QX-314の標的を痛覚感知ニューロンのみに限定できると報告している。通常QX-314は細胞膜を通過できないのだが、痛覚感知ニューロンだけに発現するカプサイシン受容体であるTRPV1チャネルを介して細胞内に入れてやると、痛覚特異的に働かせることができる。QX-314とカプサイシンをラットに同時に投与すると、「通常」のリドカイン麻酔でみられる麻痺を伴うことなく、機械刺激や熱による痛みが遮断され、局所麻酔効果がもたらされるのである。 2007年10月4日号の Nature ハイライト 宇宙:連発宇宙線 細胞:プログラムされた転移 生理:痛いところに効く 免疫:乾癬の引き金 物理:ボーズ・アインシュタイン凝縮体のジョセフソン接合 地球:熱帯が冷えていたとき 進化:オルステン型の新しい化石 生態:食物網の複雑性 細胞:ホリデイ構造の解明 目次へ戻る