Nature ハイライト
医学:がん細胞の階層
Nature 488, 7412
今回L Paradaたちは、神経膠芽腫のマウスモデルで、この腫瘍が生じるもとになる神経幹細胞で選択的に発現する緑色蛍光タンパク質(GFP)レポータータンパク質を使って、内因的環境下でのがん細胞の追跡を試みた。このレポーターによって、大多数の神経膠腫細胞に比べると比較的増殖性の低い少数の腫瘍細胞群が標識された。だが、このGFP+細胞は、細胞傷害性の抗がん剤テモゾロミド投与後の腫瘍の再増殖を引き起こした。また、GFP+細胞の選択的除去とテモゾロミド投与とを組み合わせると、腫瘍の増殖をより効果的に阻止できた。このGFP+細胞は、がん細胞の機能的階層構造の頂点に位置するように見え、腫瘍の増殖を維持する能力を持つ一群の腫瘍細胞、すなわちがん幹細胞に相当する可能性がある。この細胞群と、もっと増殖性の高い大多数のがん細胞の両方を標的とすれば、治療転帰の改善につながるかもしれない。
2012年8月23日号の Nature ハイライト
物理:クーロンドラッグの損失をカットする
物性:効果的な有機強誘電体
地球:ヒマラヤ山脈の氷河質量損失の再計算
遺伝:突然変異率はクロマチン構造の影響を受ける
遺伝:多発性硬化症における遺伝的変動
医学:がん細胞の階層
医学:固形腫瘍のクローン解析
植物:低リン酸土壌に耐えるイネ
細胞:テロメアが無制限に伸びないようにする仕組み