Nature ハイライト
Cover Story:父親の年齢子供が持つ変異と疾病リスクは受胎時の父親の年齢が高くなるにつれて上昇する
Nature 488, 7412
de novo変異は、進化における多様性の供給源としてばかりでなく、疾患に直接的な影響を与える点でも重要である。デコード・ジェネティクス社の研究者たちは、アイスランド人の両親と子という3人組について、78組の全ゲノム塩基配列解読データを用いて、全ゲノムレベルでのヒトの変異率を調べた。そして、一塩基多型の変異率に見られる多様性は、子の受胎時の父親の年齢に支配されることが見いだされた。受胎時の父親の年齢が1歳増えるごとに、変異の数はおよそ2個増加する。そこで、ランダムな変動の影響がいったん明らかにされれば、それを除いた残りのde novo変異数の変動のほとんどは父親の年齢による影響として説明できると推定される。さらに、人口動態の推移は男性が子を持つ年齢に影響を与えるが、今回の結果は、こうした推移が変異率、さらには統合失調症や自閉症のような疾患のリスクに、かなりの影響を与える可能性を示している。(Article p.471; N&V p.467)
2012年8月23日号の Nature ハイライト
物理:クーロンドラッグの損失をカットする
物性:効果的な有機強誘電体
地球:ヒマラヤ山脈の氷河質量損失の再計算
遺伝:突然変異率はクロマチン構造の影響を受ける
遺伝:多発性硬化症における遺伝的変動
医学:がん細胞の階層
医学:固形腫瘍のクローン解析
植物:低リン酸土壌に耐えるイネ
細胞:テロメアが無制限に伸びないようにする仕組み