Nature ハイライト
遺伝:ゲノム修復の達人
Nature 443, 7111
Deinococcus radiodurans は1950 年代、大量の放射線照射による殺菌を受けたのにもかかわらず腐った肉の缶詰から単離された菌で、放射線照射によるDNA 損傷のためにゲノムが完全にばらばらになっても立ち直ることができる。ではいったい、どうやってこのような離れ業をやってのけるのだろうか。この菌はゲノムのコピーを複数個もち、効果的で迅速に働くDNA修復機構を備えていることが知られている。まず相補的な配列をもつDNA 断片どうしが互いを見つけ出し、次いでDNA ポリメラーゼが合成を開始して、この断片の末端に長い一本鎖を作ることが新たな研究でわかった。その次に、相補的な一本鎖尾部どうしが対になって長い二本鎖DNA 分子が再生され、これが処理を受けて元の環状ゲノムができるようだ。
2006年10月5日号の Nature ハイライト
神経経済学:心を決めろ
生体工学:ひげの効用
宇宙:注目される新しい太陽系外惑星
生化学:強力な毒素の働き方
物理:太陽電子を壁打ちする
量子情報科学:異質なものを組み合せた テレポーテーション
地球物理学:地殻のある種の再循環
遺伝:ゲノム修復の達人
医学:1918 年に大流行したインフルエンザの研究
進化:変化のための時間