Nature ハイライト
地球:初期後生動物のための酸素の息吹
Nature 489, 7417
巨視的な後生動物が化石記録に最初に現れたのは、キオゲニアン後期(マリノア氷期)の氷河作用が終わった少し後の約6億3500万年前である。ほぼこのときに起こった酸素化イベントは、後生動物の出現の背後にある要因であったと示唆されてきた。しかし、現在の見積もりでは、酸素化は5億8000万〜5億5000万年前、すなわち初期の動物の多様化のかなり後に起こったと示唆されている。中国南部の陡山沱(ドゥシャンツァオ)累層基部から得られたエディアカラ紀初期の有機物に富んだ黒色頁岩の新たな地球化学的データから、5000万年以上早く、マリノア氷期の直後の時期に酸素化イベントが起きたことが今回示唆されている。このデータは、後氷期にかなりの酸素化が起きた証拠を示しており、地球の歴史における最も厳しい氷河作用、地球表面の酸素化、複雑な動物の最初期の出現の間の関連を裏付けている。
2012年9月27日号の Nature ハイライト
進化:小さなステップが進化の跳躍につながる
医学:肺がんゲノムの解析
医学:有効な抗インフルエンザ抗体
量子情報科学:シリコンと互換性があるスピンキュービット
地球:初期後生動物のための酸素の息吹
生態:気候変動で乱される冬眠
進化:初期のヒト族の食生活
発生:皮膚の薄い哺乳類にも再生能力
医学:ワクチンに使いやすい抗インフルエンザ抗体
生化学:膜タンパク質の相互作用のマップを作る