Nature ハイライト
Cover Story:慣性という謎:地球の自転が時空を変形する仕組み
Nature 449, 7158
乗り物が加速・減速したり曲がったりするときに感ずる引力や遠心力は、「慣性」の物理的現れである。慣性は外力が働かないときに、物体を静止状態に保ったり、あるいは直線上を等速移動させたりする。一般にニュートンの運動の第一法則で定義される「古典的」慣性の性質や、アインシュタインの一般相対論によれば、自転する質量に伴うとされる慣性系の引きずりは、長い間物理学者を魅了してきた。今週号のReview ArticleでI Ciufoliniは、慣性系の引きずりの研究における、地球周回人工衛星が行った測定に基づく最近の進歩について考察している。表紙は、NASAのGRACE計画で測定された精密な重力値を用いた、全地球重力ポテンシャルモデルEIGEN-GL04Cから導かれた重力異常を示している。地球の自転は空間、そして時間までも引きずっており、壮大な尺度の慣性系の引きずりを示している。
2007年9月6日号の Nature ハイライト
地球:ミャンマーの津波リスク
量子情報科学:メートル規模で実現した量子もつれ
宇宙:地球を襲ったバティスティーナ族の火球
進化:遺伝子の重複で単純化?
物性:振動を励起する
生態:飛び出す顎で獲物を押さえ込む
細胞:先端糸の構造を解明
視覚:視覚における精度
細胞:微妙なバランス
免疫:二重の機能をもったワクチン