Nature ハイライト

免疫:二重の機能をもったワクチン

Nature 449, 7158

有効なワクチンの多くは、中和抗体の誘導によって機能する。そして、HIVワクチンの開発では、中和抗体の誘導というこの方法は最重要とされる。しかし新しい研究によって、抗HIV抗体は、ウイルスを完全に殺してT細胞への侵入を阻害する中和と、感染細胞を殺すことの2通りの方法で作用する場合に最も有効に働くらしいことが示唆された。HIVを防御するヒトの中和抗体の改変版をサルモデルで使ったところ、防御は抗体の中和活性のみに依存するのではなく、エフェクター細胞上のFc受容体との相互作用にも依存することがわかったのである。この相互作用は、感染細胞のウイルス産生量を低下させるように働くらしい。この研究から、最善の結果は、抗体ではなくマクロファージやサイトカインなどの作用因子を介して生じる細胞性免疫と、中和抗体の両方を働かせるワクチンから得られるのではないかと考えられる。

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