Nature ハイライト

細胞:SIRT2は細胞死の調節因子である

Nature 492, 7428

デス受容体リガンドである腫瘍壊死因子(TNF)-αは、2種類のタンパク質、すなわちRIP1(receptor-interacting protein 1)とRIP3(receptor-interacting protein 3)を含む複合体の形成を促進することにより、壊死を開始させる。今回T Finkelたちは、マウスを使った研究で、NAD依存性デアセチラーゼであるSIRT2が構成的にRIP3に結合することを明らかにした。SIRT2が存在しないと、TNF-α刺激の後にRIP1–RIP3複合体が形成されず、壊死が防止される。RIP1はSIRT2依存性脱アセチル化の標的であり、RIP1のアセチル化が、RIP1–RIP3複合体の形成およびTNF-α刺激による壊死を調節する。壊死がよく見られる虚血再潅流傷害の過程では、RIP1がSIRT2依存的に脱アセチル化される。さらに、Sirt2遺伝子を欠損する心臓、あるいはSIRT2の薬理学的阻害剤で処理された心臓では、虚血性傷害がほぼ防がれることも明らかになった。したがって、SIRT2はプログラムされた壊死の重要な調節因子であり、壊死性傷害の防止の薬理学的標的として有望である。

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