Nature ハイライト

細胞:TPP1テロメアタンパク質のTELパッチ

Nature 492, 7428

ヒト染色体のテロメアに結合するタンパク質のTPP1は、テロメアの一本鎖DNAに結合し、染色体末端を保護する重要な役割を担っている。TPP1は、染色体末端を複製する酵素であるテロメラーゼの動員とその機能の促進の両方を行うと考えられている。T Cechたちは、TPP1の機能分離性変異体を用いて、テロメラーゼへの結合とテロメアのキャッピングはそれぞれ独立した機能であることを明らかにしている。これらの変異体によって、TPP1の表面にあるアミノ酸の小さなパッチ(TELパッチ)が見つかった。このTELパッチは、テロメラーゼへの結合とその機能の促進の両方に必要である。テロメラーゼは多くのがんで過剰発現しているので、抗がん剤開発の重要な標的となっている。テロメラーゼ自体の阻害は難しいことがわかっているので、TELパッチは抗がん治療のための有望な新戦略につながりそうだ。

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