Nature ハイライト

細胞:iPSC株から得られる入り混じった遺伝学的情報

Nature 492, 7429

体細胞から人工多能性幹細胞(iPSC)を作製できることは、ヒトの発生や再生医療の研究に刺激的な可能性をもたらす。こうした応用には、個体に由来するクローン性細胞が、その個体の遺伝学的背景を維持していることが必要とされるので、再プログラム化された細胞には染色体コピー数多型(CNV)があるとする報告は、iPSCのトランスレーショナルな使用に重要な意味を持ってくる。今回、F Vaccarinoたちが、7人に由来する20のヒトiPSC株について、全ゲノム解析とトランスクリプトーム解析を行った結果を報告している。再プログラム化が、体細胞ゲノムに既存のCNVに加えてde novoのCNVを必ず増やすという訳ではないことがわかった。さらに、個人ごとにモザイクCNVパターンがあることも判明し、培養ヒト線維芽細胞から得られたこれまでの知見が確認された。この研究は、ヒト組織で低頻度CNVによって生じるゲノムモザイク現象を見つけ出して調べる手段としてiPSCが使用できることを示している。

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