Nature ハイライト
老化:視床下部による老化過程の制御
Nature 497, 7448
老化は栄養状態や炎症と密接に関係しており、線虫(Caenorhabditis elegans)やショウジョウバエ(Drosophila)では、特定のニューロンが老化に対する環境の影響を調節している可能性がある。今回、中枢神経系と末梢神経の間の神経内分泌相互作用に重要な脳領域である視床下部に注目して、老化の研究が行われた。G Zhangたちは、マウス視床下部におけるIKK-βとNF-κBの活性化が、老化過程を加速し、寿命を短くすることを明らかにした。代謝性炎症の仲介因子であるIKK-βとNF-κBを阻害すると、老化が遅れ、寿命が延長される。NF-κBを活性化すると、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が減少し、神経新生が抑制された。GnRHを投与すると、老化で減少していた神経新生が回復し、老化速度が遅くなった。これらの結果は、NF-κBを介したGnRHの抑制が、生殖を停止させて種の質を確保すると同時に、全身の老化を開始させる可能性を示唆している。
2013年5月9日号の Nature ハイライト
神経科学:口と顔の動きを制御する親時計
老化:視床下部による老化過程の制御
構造生物学:mTORキナーゼの構造
量子物理学:光子の量子もつれの実在性
物理:スカーミオンがフェルミ液体挙動の破綻を引き起こす
気候:海水準上昇におけるグリーンランドの役割を見直す
細胞:サイトカインが指示する幹細胞分化
細菌学:身元を隠す病原性細菌
細胞:死んだ細胞のシグナル伝達機能
構造生物学:細菌の微量栄養素輸送体