Nature ハイライト
細胞:サイトカインが指示する幹細胞分化
Nature 497, 7448
感染や炎症の際に放出されるマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)などの細胞系譜特異的サイトカインは、細胞系譜の運命が拘束された前駆細胞からの成熟細胞の産生を強く促すことができるが、造血幹細胞の分化決定に直接影響を与えるかどうかについては議論が続いている。今回、M Siewekeたちは、M-CSFが、骨髄細胞系譜のマスター調節因子として知られるPU.1を直接誘導することにより、骨髄細胞系譜への運命を指示することを報告している。この機構によって、サイトカインは幹細胞に、その特定のストレスへの対処に合った細胞へ分化するように直接指示している可能性がある。この機構からはまた、病的状態あるいは移植条件下で幹細胞の運命を操作するための手がかりも得られるかもしれない。
2013年5月9日号の Nature ハイライト
神経科学:口と顔の動きを制御する親時計
老化:視床下部による老化過程の制御
構造生物学:mTORキナーゼの構造
量子物理学:光子の量子もつれの実在性
物理:スカーミオンがフェルミ液体挙動の破綻を引き起こす
気候:海水準上昇におけるグリーンランドの役割を見直す
細胞:サイトカインが指示する幹細胞分化
細菌学:身元を隠す病原性細菌
細胞:死んだ細胞のシグナル伝達機能
構造生物学:細菌の微量栄養素輸送体