Nature ハイライト
構造生物学:mTORキナーゼの構造
Nature 497, 7448
mTOR(mammalian target of rapamycin)経路は、エネルギーや栄養、増殖因子などの環境シグナルに反応して起こる細胞増殖の重要な調節因子であり、がんや代謝性疾患ではこの経路の調節に誤りが生じている。今回、mTORキナーゼの結晶構造が初めて報告された。正の調節因子、あるいは小分子のATP拮抗阻害剤と結合したこの酵素の分解能3.2 Åでの結晶構造から、これが本来的に活性型のキナーゼであることが明らかになり、またラパマイシン–FKBP12複合体がキナーゼドメインへの基質供給を阻害する仕組みが説明される。
2013年5月9日号の Nature ハイライト
神経科学:口と顔の動きを制御する親時計
老化:視床下部による老化過程の制御
構造生物学:mTORキナーゼの構造
量子物理学:光子の量子もつれの実在性
物理:スカーミオンがフェルミ液体挙動の破綻を引き起こす
気候:海水準上昇におけるグリーンランドの役割を見直す
細胞:サイトカインが指示する幹細胞分化
細菌学:身元を隠す病原性細菌
細胞:死んだ細胞のシグナル伝達機能
構造生物学:細菌の微量栄養素輸送体