Nature ハイライト
細菌学:身元を隠す病原性細菌
Nature 497, 7448
細菌は、一連の低分子RNAを使って侵入してくるDNAを分解することで、プラスミドやファージ由来のありがたくない外来異物に対処している。これに関わる系はCRISPR/Casとして知られており、この他の機能もあるだろうと考えられてきた。今回、D Weissたちは、真核生物宿主の細胞に侵入できる病原菌のFrancisella novicidaが、宿主の自然免疫系に異物と見なされてしまう細菌自身のリポタンパク質の1つの産生を、CRISPR/Cas系を使って抑制することを明らかにしている。ナイセリアやカンピロバクターなどの他の科の病原体にも活性なCRISPR/Cas系が存在し、これらも同じような抗免疫機能を持つ可能性が考えられる。そうだとすると、この系は抗菌剤治療でこれまで使われたことがない新規標的となるかもしれない。
2013年5月9日号の Nature ハイライト
神経科学:口と顔の動きを制御する親時計
老化:視床下部による老化過程の制御
構造生物学:mTORキナーゼの構造
量子物理学:光子の量子もつれの実在性
物理:スカーミオンがフェルミ液体挙動の破綻を引き起こす
気候:海水準上昇におけるグリーンランドの役割を見直す
細胞:サイトカインが指示する幹細胞分化
細菌学:身元を隠す病原性細菌
細胞:死んだ細胞のシグナル伝達機能
構造生物学:細菌の微量栄養素輸送体