Nature ハイライト

細菌学:身元を隠す病原性細菌

Nature 497, 7448

細菌は、一連の低分子RNAを使って侵入してくるDNAを分解することで、プラスミドやファージ由来のありがたくない外来異物に対処している。これに関わる系はCRISPR/Casとして知られており、この他の機能もあるだろうと考えられてきた。今回、D Weissたちは、真核生物宿主の細胞に侵入できる病原菌のFrancisella novicidaが、宿主の自然免疫系に異物と見なされてしまう細菌自身のリポタンパク質の1つの産生を、CRISPR/Cas系を使って抑制することを明らかにしている。ナイセリアやカンピロバクターなどの他の科の病原体にも活性なCRISPR/Cas系が存在し、これらも同じような抗免疫機能を持つ可能性が考えられる。そうだとすると、この系は抗菌剤治療でこれまで使われたことがない新規標的となるかもしれない。

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