Nature ハイライト

Cover Story:洋ナシ形になる:CERNで観測されたエキゾチックなラジウム224原子核

Nature 497, 7448

CERNのISOLDE施設にあるγ線分光計MINIBALLのターゲットチェンバー。
CERNのISOLDE施設にあるγ線分光計MINIBALLのターゲットチェンバー。 | 拡大する

Credit: CERN

ラジウム224原子核の形状が明らかになった。原子核は多体量子系であり、その形状は含まれる核子の数と核子間の相互作用によって決まる。さまざまな数の陽子と中性子を持つ数千種もの安定原子核と放射性原子核が知られているが、そのほとんどが球状かラグビーボール状である。しかし、一部の重い不安定核種は、八重極変形という現象によって歪むため洋ナシ形になるという状況証拠がある。CERNのREX-ISOLDE施設では、こうした珍しい原子種のサンプルを光速の8%まで加速できる。そして今回、短寿命同位体ラジウム224とラドン220のビームについてクーロン励起実験が行われ、ラジウム224で明確な八重極変形が示された。今回の結果は、八重極変形原子核についてのいろいろな理論モデルの見分けを可能にするばかりでなく、標準模型を超えて物理学を追求していくのにも関係してくる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度