Nature ハイライト
医学:媒介動物である蚊は感染と防御の両方に働く?
Nature 498, 7453
マラリア原虫を、齧歯類、霊長類あるいはヒト宿主中で連続継代させると、この寄生虫の毒力、つまり病気を引き起こす力が強くなる。これは、媒介動物による伝播が毒力を変化させることを示唆しているが、この考えを裏付ける直接の証拠はまだない。今回、J Langhorneたちは、蚊による伝播の際に、無性の血液段階にあるネズミマラリア原虫(Plasmodium chabaudi chabaudi)で内因的な変化が起こり、次いでそれが宿主免疫応答を変化させることを実証している。媒介動物である蚊の体内で起こるプラスモジウム類の変化は、このような寄生虫の生活サイクルの複数の段階で働いている調節過程が組み合わさった結果生じたのだろうと著者たちは考えている。この研究は、マラリアの発症機序に、媒介動物、寄生虫および哺乳類免疫系の相互作用が重要であることをはっきり示している。この3つの間の関係が完全に解明されれば、ワクチン設計のための新しい選択肢が出てくるかもしれない。
2013年6月13日号の Nature ハイライト
構造生物学:GIRK2–Gタンパク質βγ二量体の構造
宇宙:球状星団の星は進化の最終段階を早々に離脱する
物理:低温原子のスピントランジスター
物理:通信中に姿を隠すメッセージ
物理:ナノスケールの接合における熱測定
地球:マントルの粘性に対する水の影響
免疫:自己炎症におけるインターロイキン1αの役割
医学:媒介動物である蚊は感染と防御の両方に働く?
分子生物学:MBNLタンパク質と多能性
細胞:幹細胞が分裂する際の姉妹染色分体の運命