Nature ハイライト
Cover Story:革新的技術:我々の祖先はいかにして物を投げられるように進化し、投てき技術は我々を人間たらしめるのにどのように役立ったのか
Nature 498, 7455
物を上手に投げるというヒトに独自の能力が生じた一因は二足歩行にありそうだと、ダーウィンは推測していた。我々に最も近縁の霊長類であるチンパンジーなどの一部の霊長類は、時として物を投げることがあるが、その速度や正確さは、人間の小さな男の子にすらかなわない。N Roachたちは、物を投げるというこの新規な行動の進化について解明を進めるため、大学の野球選手たちのボールを投げる動きの生体力学的性質を調べた。得られた知見から、ヒトの上半身に生じたいくつもの適応によって、肩の弾性エネルギーを弩(いしゆみ)に似た形で保存し解放することが可能になっていることがわかった。形態に重要な移行が起こって、このようなエネルギー保存を可能にしたことの証拠は、ヒト族の化石記録に保存されている。このような化石に基づいて、高速で物体を投げる能力はおそらくホモ・エレクトス(Homo erectus)で生じ、これは太古の狩猟で重要な役割を果たしただろうと研究チームは考えている。
2013年6月27日号の Nature ハイライト
発生:神経細胞のタイムリーな再生
宇宙:赤色巨星から白色矮星になる脈動星
量子物理学:原子と光の量子もつれの新しい方法
フォトニクス:脚光を浴びるシリコン
地球:マントル安定性が生じさせる地質学的乱流
神経生物学:蚊が嗅ぎつけるのを防ぐには
発生:再生能を持つ心筋細胞
免疫:BACH2の抗炎症作用
分子生物学:eRNAの調節的働き