Nature ハイライト
地球化学:火星隕石の年代の食い違いを解決
Nature 499, 7459
地球に落ちた多くの隕石の内いくつかは火星起源のものである。火星表面から来たこうした希少な試料の真の年代は数十年にわたって論争の的であり、解釈されたその年代は最大で40億年異なっている。D Moserたちは、結晶の成長累帯構造と組織をナノスケールで調べて隕石が放出された時期を決定できる新しい方法を使って、この問題を解決した。強い衝撃変成を受けた火星隕石Northwest Africa 5298内にある侵食耐性の微小鉱物バッデレイ石とホスト火成鉱物の分析から、それが過去4億年内の火星の火山活動で結晶化したものであることが明らかになった。40億年という形成年代の今までの見積もりは、実際にはマグマが生成された古代のマントル溶融イベントの痕跡の年代である。こうした知見は、比較的若い火山性の火星地殻の真下に対流運動をしない古いマントルがあることを裏付けている。
2013年7月25日号の Nature ハイライト
物理:超流動フェルミ気体におけるソリトン
微生物学:培養されたことがない微生物のゲノミクス
構造生物学:2つのクラスBヒトGPCR受容体
地球化学:火星隕石の年代の食い違いを解決
材料科学:羽のように軽く壊れにくいプラスチック電子デバイス
進化:絶滅が危惧される大型類人猿の遺伝的全体像
細胞:肝芽の誘導で臓器再生へ一歩前進
医学:骨腫瘍の前駆細胞
医学:H7N9鳥インフルエンザウイルス分離株を調べる