Nature ハイライト
材料科学:凝縮物質からの誘導X線放出
Nature 501, 7466
共鳴非弾性X線散乱などの手法は、物質の基本的な電子励起や振動励起の強力なプローブとなる。しかし、着目する比較的弱いシグナルを抽出するには非常に高い光子密度が必要であり、この光子密度は高すぎて試料を損傷しかねない。M Beyeたちは今回、X線自由電子レーザーを用いて、試料から誘導X線放出を誘起することによって、原理的にはこの問題を避けられる方法を示している。また、シリコンを例にとって、X線自由電子レーザーが固体試料から誘導X線放出を誘起し、物質における低エネルギー励起や分散を調べる優れたプローブが得られることを示している。誘導X線放出は、過去に気体で実証されたことがある。しかし、固体系における誘導X線放出の実現によって、新たな実験的可能性が開かれるであろう。