Nature ハイライト
生化学:ポリケチド生成の新しいルート
Nature 502, 7469
ポリケチドシンターゼ(PKS)は、ポリケチド類を生産するモジュール型の酵素複合体である。ポリケチド類は、二次代謝産物の大きなクラスの1つであり、天然物も知られている。今回、真菌に内部共生する細菌Burkholderia rhizoxinica由来の新しいPKSモジュールが見つかり、その性質が明らかにされた。このモジュールは、不飽和チオエステルへのマロニル単位のビニログ的付加反応を触媒し、伸長中のポリケチド鎖に分枝を生じさせる。これまでに解明されているPKSモジュールは全て、アシル単位、マロニル単位の頭尾連結を触媒し、直鎖状のポリケチド鎖を作るものだったので、この酵素活性は非常に珍しいといえる。新たに見つかったこの反応は、天然のポリケチド産物の構造的多様性を増やすことのできる簡単な仕組みとなっている。
2013年10月2日号の Nature ハイライト
分子生物学:プロモーターを認識する
遺伝学:単一細胞Hi-C法によるゲノム解析
細胞:細胞のほぼ全部がiPS細胞になるという効率のよい変換法
物理:2倍の量子
材料科学:ナノ光学のための表面励起の観測
地球:南極棚氷の底面における融解
進化:雄の派手さと寿命のトレードオフ
生物物理:グルタミン酸輸送機構を詳しく調べる
生化学:ポリケチド生成の新しいルート