Nature ハイライト
物理:量子系を測定して安定化する
Nature 502, 7470
2つのエネルギー準位の間の粒子の重ね合わせなどの量子状態は、その環境と接触すると、古典的に記述される状態へと直ちに戻ってしまう。この「デコヒーレンス」を避けるには、多大な努力を費やして、量子デバイスをその環境から切り離そうとすることが多い。しかし、別のやり方もある。K Murchたちは、環境のゆらぎを連続的に正確に測定すれば、量子コヒーレンスを維持できることを示している。彼らは、デコヒーレンスを引き起こす可能性の高いゆらぎのあるマイクロ波共振器中に埋め込まれた超伝導デバイスからなるキュービットを調べた。ゆらぎの位相か振幅のいずれかを正確に測定する行為によって、キュービットの状態が本質的に純粋に量子的なランダム軌道に沿って導かれることが分かった。今回の成果は、生物系から量子コンピューターに及ぶ複雑な環境中の量子系を操作するための、測定を通して遠隔作用を利用する新しい種類の制御を示唆している。
2013年10月9日号の Nature ハイライト
気候:最初に気候変動の災難を被るのは熱帯である
古生物学:脊椎動物の「顔」の進化
細胞生物学:オートファジーと繊毛形成とのつながり
構造生物学:Na+、K+の細胞膜勾配の構造基盤
物理:量子系を測定して安定化する
物性物理学:準結晶をオーダーする
地球:地球表面で見られる地磁気変動の内幕
細胞:造血幹細胞の階層構造
微生物学:細菌性髄膜炎の病原体は宿主の体温を測る
遺伝:DNAメチル化とDNA複製をつなぐ