Nature ハイライト
物性物理学:準結晶をオーダーする
Nature 502, 7470
準結晶は従来の結晶とは全く異なる。その構成部分は秩序性を持つが、結晶に見られるような精密な繰り返しパターンを示さない。こうした異常な構造は、有用な新しい特性を準結晶にもたらす可能性がある。準結晶はまれにしか存在せず、数少ない特定の物質に限られている。しかし、今回W Widdraたちは、2つの異なる周期系の間に存在する幾何学的不整合を利用することによって、規則正しい結晶性物質の薄膜に準結晶が生じることを示している。具体的には、ペロブスカイト型チタン酸バリウム薄膜を、適切な面方位の結晶性白金基板上に成長させると、十二角形準結晶構造をとるようになることを見いだした。この方法を発展させていけば、さまざまな材料や技術的応用に準結晶性の概念を持ち込むことができる可能性がある。
2013年10月9日号の Nature ハイライト
気候:最初に気候変動の災難を被るのは熱帯である
古生物学:脊椎動物の「顔」の進化
細胞生物学:オートファジーと繊毛形成とのつながり
構造生物学:Na+、K+の細胞膜勾配の構造基盤
物理:量子系を測定して安定化する
物性物理学:準結晶をオーダーする
地球:地球表面で見られる地磁気変動の内幕
細胞:造血幹細胞の階層構造
微生物学:細菌性髄膜炎の病原体は宿主の体温を測る
遺伝:DNAメチル化とDNA複製をつなぐ