Nature ハイライト
微生物学:細菌性髄膜炎の病原体は宿主の体温を測る
Nature 502, 7470
ヒトの病原体である髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)は、敗血症や髄膜炎の原因菌であり、多糖からなり、細胞外液中での生存を助ける莢膜などのさまざまな防御機構を進化させてきている。C Tangたちは、髄膜炎菌での莢膜の発現が、莢膜の生合成に必要な3つの遺伝子のmRNAの5′非翻訳領域(5′ UTR)に位置するRNA温度センサーによって調節されていることを明らかにしている。この細菌は、炎症や免疫エフェクター細胞の動員に伴う体温上昇を検出することで鼻咽頭粘膜の炎症状態を感知しているらしい。元来は共生細菌である髄膜炎菌は、こうすることで自己の防御機構を強化し、インフルエンザウイルスなどの共感染しているウイルス病原体に対する宿主応答に抵抗できるようになる。
2013年10月9日号の Nature ハイライト
気候:最初に気候変動の災難を被るのは熱帯である
古生物学:脊椎動物の「顔」の進化
細胞生物学:オートファジーと繊毛形成とのつながり
構造生物学:Na+、K+の細胞膜勾配の構造基盤
物理:量子系を測定して安定化する
物性物理学:準結晶をオーダーする
地球:地球表面で見られる地磁気変動の内幕
細胞:造血幹細胞の階層構造
微生物学:細菌性髄膜炎の病原体は宿主の体温を測る
遺伝:DNAメチル化とDNA複製をつなぐ