Nature ハイライト
Cover Story:魔法の瞬間:中性子数34のエキゾチックなカルシウム54同位体は二重魔法数になる
Nature 502, 7470
原子核中の陽子と中性子は、エネルギー準位間の大きなギャップに対応して、それぞれ異なる殻を形成し、これは、原子中の軌道を回る電子にある程度似ている。天然に存在する安定な原子核では、陽子あるいは中性子の数が2、8、20、28、50、82あるいは126という、いわゆる魔法数の場合に完全に占有された殻が生じる。陽子と中性子の不均衡が大きい不安定な原子核では、新しい殻が現れ、他の殻は消えて、魔法数が進化することがある。理化学研究所RIビームファクトリーで発生させた高速の放射性入射核が引き起こす陽子ノックアウト反応を使った、中性子過剰核カルシウム54(20個の陽子と34個の中性子からなる)の分光学的研究により、中性子数34がこの系では魔法数であることを直接示す証拠が得られた。この結果によって、そのような魔法数の存在について、以前からあった不確実性が取り除かれ、エキゾチックなカルシウム54同位体の中性子と陽子の数における「二重魔法数」という性質が確認された。表紙は、カルシウム54核の励起状態から放出されるγ線を測定するのに使われたヨウ化ナトリウム検出器である。
2013年10月10日号の Nature ハイライト
気候:最初に気候変動の災難を被るのは熱帯である
古生物学:脊椎動物の「顔」の進化
細胞生物学:オートファジーと繊毛形成とのつながり
構造生物学:Na+、K+の細胞膜勾配の構造基盤
物理:量子系を測定して安定化する
物性物理学:準結晶をオーダーする
地球:地球表面で見られる地磁気変動の内幕
細胞:造血幹細胞の階層構造
微生物学:細菌性髄膜炎の病原体は宿主の体温を測る
遺伝:DNAメチル化とDNA複製をつなぐ