Nature ハイライト
医学:抗糖尿病活性を持つ低分子化合物AdipoRon
Nature 503, 7477
アディポネクチンは脂肪由来のホルモンで、インスリン抵抗性/糖尿病とアテローム性動脈硬化症の予防に重要な役割を果たしているらしい。今回、東京大学創薬オープンイノベーションセンターの化合物ライブラリーでの低分子化合物のスクリーニングによって、アディポネクチンの抗糖尿病活性を仲介する受容体AdipoR1とAdipoR2に結合して活性化する、経口投与可能な化合物が見つかった。AdipoRonと名付けられたこの化合物は、高脂肪食を与えたマウスや遺伝的肥満マウス(db/dbマウス)のインスリン抵抗性と耐糖能を改善する。AdipoRonはまた、高脂肪食を与えられた短命のdb/dbマウスの寿命を延長する。この研究の結果がヒトにも当てはまるとすれば、AdipoRonのような経口投与で活性を示すアディポネクチン受容体アゴニストは、2型糖尿病をはじめとする肥満関連疾患の新しい治療法につながる可能性がある。
2013年11月28日号の Nature ハイライト
システム生物学:カチカチと進む時計によって決まる細胞の運命
医学:抗糖尿病活性を持つ低分子化合物AdipoRon
宇宙:降着がエネルギーを供給する超高輝度X線源
量子情報科学:スピントロニクス用の新材料
宇宙:火星高地から来たことの「石のように硬い」証拠
生態:侵入種の交代
進化遺伝学:iPS細胞を使って霊長類どうしの関係を調べる
医学:コウモリで見つかったSARS様ウイルス