Nature ハイライト
構造生物学:TRPイオンチャネルの開構造と閉構造
Nature 504, 7478
TRP(transient receptor potential)チャネルは幅広い物理的、化学的な刺激のセンサーである。今回、M Liaoたちは、「閉」状態にあるラットTRPV1の高分解能低温電子顕微鏡構造を報告している。TRPV1は、唐辛子の辛味成分カプサイシンの受容体である。その全体構造は、電位依存性イオンチャネルとかなりよく似ているが、TRPチャネル独自の構造的な特徴がいくつかあることが明らかになった。一方、E Caoたちは、ペプチド性神経毒であるレシニフェラトキシン存在下と、カプサイシン存在下のラットTRPV1の構造を示し、このチャネルの活性化状態の構造を明らかにしている。閉状態と開状態の構造比較から、TRPV1はチャネル活性化の際に独自の2ゲート機構をとると考えられる。
2013年12月5日号の Nature ハイライト
構造生物学:ムスカリン性アセチルコリン受容体M2におけるアロステリー
構造生物学:TRPイオンチャネルの開構造と閉構造
宇宙:γ線バースターからの最初の光
惑星科学:ベスタの意外な場所で発見されたカンラン石
気候:太平洋赤道海流とエルニーニョ/ラニーニャの非対称性
がん:メラノサイトのシグナル伝達と薬剤耐性
細胞:Nras変異細胞はチャンスを2倍にする
免疫:新生児が感染を起こしやすい理由
発生生物学:脂肪細胞の運命を制御する