Nature ハイライト
集団遺伝学:最初のアメリカ先住民の絡み合ったルーツ
Nature 505, 7481
最も初期のアメリカ先住民であるファースト・アメリカンはどこから来たのか、そしてどんな人たちだったのだろうか。どちらの疑問についても、遺伝学や考古学による証拠の解釈によって答えが分かれている。だが今回、シベリア中南部のマリタで発掘された2万4000年前のヒト標本のゲノム概要配列が解読されたことで、事態の解明が進むかもしれない。この概要配列は、これまでに報告された現生人類ゲノム塩基配列の中で最古のものである。E Willerslevたちは、このマリタの個体が遺伝学的に現代のアメリカ先住民と近い関係にあり、系統的にみると現代の西ユーラシア人の基部に位置するが、東アジア人とは近縁でないことを明らかにした。このことは、現代の西ユーラシア人に近縁な集団が、過去には一般に考えられているよりも北東の地域に分布していたことを意味している。著者たちは、アメリカ先住民の祖先の14~38%がこの古代のマリタ集団を起源とする、つまり東アジア系ではなく西ユーラシア系であると推定している。ファースト・アメリカンの一部の頭蓋骨には東アジア人と異なる特徴があることが報告されていたが、その理由もこのような起源の違いによって説明できるかもしれない。
2014年1月2日号の Nature ハイライト
気候科学:気候モデルの不確実性を引き起こす大気混合
進化:ネアンデルタール人女性のゲノム塩基配列
医学:アルテミシニン耐性マラリアのマーカー
宇宙:2つの惑星の物語
材料:結晶へのゆるやかな道
集団遺伝学:最初のアメリカ先住民の絡み合ったルーツ
神経科学:恐怖関連行動の制御
細胞生物学:CXCR7/CXCR4のバランスと肝臓の修復
分子生物学:mRNA上で終わりを宣言する