Nature ハイライト
進化:鳥類特有のものではなかった非潮汐的な換気
Nature 506, 7488
哺乳類における換気は潮汐的である。つまり、息を吸っては吐くを繰り返すのである。しかし、鳥類の場合、そう単純ではない。鳥類の肺は、空気の流れが一方向性になるように接続された気嚢の大規模なネットワークの一部でしかない。このような配置は飛翔のエネルギー要求に関連していると考えられていたが、類似した系がワニ類に存在することが見つかり、さらに恐竜でもこの系の存在が推定されたため、肺での一方向性の気流による換気は主竜類(鳥類、ワニ類および恐竜類を含むクレード)で出現した可能性が出てきた。しかし、肺での一方向性気流系が、もっと広範囲な生物にまで及んでいる可能性はないだろうか。今回、オオトカゲでの研究から、主竜類の姉妹タクソンである鱗竜類(トカゲ類、ヘビ類など)では、少なくとも換気の一部が潮汐的であることが示された。これは重要な発見であるが、肺での一方向性気流が主竜類および鱗竜類の収斂した特徴であるのか、あるいは両グループの基本的な特徴であるのかはまだ決定されていない。後者であるならば、鳥類の初めての飛翔よりも1億年前に、肺での一方向性の空気の流れが進化したことになる。
2014年2月20日号の Nature ハイライト
幹細胞:筋肉が老いるとき
幹細胞:乳腺で二分化能を持つ幹細胞が果たす役割
がん:白血病の前がん過程
分子生物学:RNA–タンパク質複合体の組み立て
宇宙:非対称な爆発の残骸であるカシオペア座A
プラズマ物理学:核融合の燃料利得向上
進化:鳥類特有のものではなかった非潮汐的な換気
創薬:関節リウマチ薬の標的を探す
細胞生物学:半数体の生活に都合の良い調節戦略