Nature ハイライト
医学:準備OKのマラリア毒性因子
Nature 507, 7491
マラリア原虫が媒介昆虫である蚊に伝播するには、性的発達を経て生殖母体(ガメトサイト)を形成しなくてはならない。しかし、生殖母体へと発生するように細胞運命を拘束するための分子機構は不明である。今回、2つの相補的な論文によって、アピコンプレクス類が持つ転写因子AP2ファミリーのメンバーであるAP2-Gが、マラリア原虫の性的発達のマスター調節因子であり、初期に働く生殖母体遺伝子の転写を開始させる発生スイッチとして働くことが明らかにされた。A Sinhaたちは、齧歯類に感染するマラリア原虫であるネズミマラリア原虫(Plasmodium berghei)を、B Kafsackたちは、ヒト病原体である熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)を用いている。ヒトに感染するマラリア原虫でのAP2-G活性は、生殖母体形成過程の阻害を狙って設計された抗マラリア薬の標的候補となるだろう。
2014年3月13日号の Nature ハイライト
細胞:肺の幹細胞の生活史
医学:C9orf72に関連する神経病変でのRNA毒性
免疫:ひと味違うワクチン設計
化学:触媒選択性を計算するための新しいモデル
化学:離れたC–H結合のサイト選択的活性化
地球:地球のリングウッダイトは水の分布を反映している
遺伝学:最後の狩猟採集民
遺伝学:超遺伝子は遺伝子をどれだけ超えるのか?
神経科学:ショウジョウバエは求愛歌を変化させる
医学:準備OKのマラリア毒性因子