Nature ハイライト

医学:準備OKのマラリア毒性因子

Nature 507, 7491

マラリア原虫が媒介昆虫である蚊に伝播するには、性的発達を経て生殖母体(ガメトサイト)を形成しなくてはならない。しかし、生殖母体へと発生するように細胞運命を拘束するための分子機構は不明である。今回、2つの相補的な論文によって、アピコンプレクス類が持つ転写因子AP2ファミリーのメンバーであるAP2-Gが、マラリア原虫の性的発達のマスター調節因子であり、初期に働く生殖母体遺伝子の転写を開始させる発生スイッチとして働くことが明らかにされた。A Sinhaたちは、齧歯類に感染するマラリア原虫であるネズミマラリア原虫(Plasmodium berghei)を、B Kafsackたちは、ヒト病原体である熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)を用いている。ヒトに感染するマラリア原虫でのAP2-G活性は、生殖母体形成過程の阻害を狙って設計された抗マラリア薬の標的候補となるだろう。

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