Nature ハイライト
Cover Story:方向感覚:目の運動検知細胞が脳での正しい描像の構築を助ける仕組み
Nature 507, 7492
網膜にあって視対象の移動を検出する細胞は方向選択性神経節細胞(DSGC)と呼ばれ、50年以上前から知られており、研究されてきた。だが、視覚情報処理におけるその正確な役割はまだはっきりしていない。A Hubermanたちは、解剖学的手法と画像化技術を用いて、マウス脳でのDSGCの連結について調べ、DSGCは一次視覚皮質表層のニューロンと特異的に結び付いていることを明らかにした。複数のさまざまな型のDSGCからの入力が統合され、方向についての情報と方位についての情報が皮質に送られる。さらに、網膜からの非方向的に調整された情報は、皮質のもっと深い層へと送られる。これらの結果から、マウスの視覚系には複数の機能的に異なる経路が並行して存在し、皮質での方向選択性と方位選択性は、網膜内での動き検出細胞による視覚情報処理の早い段階で生じている可能性が明らかになった。
2014年3月20日号の Nature ハイライト
がんゲノミクス:膀胱がんの治療標的を探し出す
発生生物学:骨の成長と血管新生は連動している
創薬:明らかになった死細胞処分機構
宇宙:アンドロメダ座IIに見つかった矮小銀河の合体
磁気圏物理学:地球の放射線帯内の「縞模様」
フォトニクス:フォトニクス技術を搭載したレーダー
環境化学:新生代の炭素収支を釣り合わせる
進化:メラノソームの形態の変化
進化遺伝学:ネアンデルタール人の遺伝子は今
免疫:インターロイキン35による免疫の負の調節