Nature ハイライト

進化遺伝学:ネアンデルタール人の遺伝子は今

Nature 507, 7492

現代人のゲノムには、ネアンデルタール人の痕跡が含まれている。しかし、ネアンデルタール人に由来するDNAはヒトゲノム全体に均一に分布しているのだろうか、それとも場所によって集中しているといった不均一な分布をしているのだろうか。S Sankararamanたちは、ケラチンフィラメント(髪などの成分)に影響する遺伝子群を多く含むヒトゲノム領域内に、ネアンデルタール人由来のDNAが比較的多く存在することを明らかにしている。これは、現生人類がアフリカ以外のより寒冷な環境に適応する際にこうしたDNAが役立ったことを示唆している。しかしマイナス面もあり、ネアンデルタール人由来の対立遺伝子の多くが疾患リスクと関連していた。ヒトゲノムの他の領域には、ネアンデルタール人由来の対立遺伝子があまり含まれておらず、進化の過程で積極的に排除されたことを示唆している。これらの「失われた」遺伝子のうちのいくつかは精巣で発現し、X染色体上にあるため、ネアンデルタール人由来のDNAが現生人類の遺伝的背景に組み込まれた際にヒトの生殖能力を低下させたと考えられる。

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