Nature ハイライト
気候科学:変動する気候下での生物種の移動性
Nature 507, 7493
変動する気候の下で生物種が存続するには、ある一定の平均温度の地域で暮らすために移動が必要になると考えられる。そのような移動性は、変動する気候に対して遅れずについていく能力があるかどうか、また、移動に対する物理的障壁が存在するかどうかに左右される。今回、気候変動の速度を使って、最近の数十年間で生態的な気候ニッチがどう変化したかを表す全球地図を作成し、さらに、今世紀末までの種分布の変化を予測した結果が報告された。その地図からは、気候条件の「ソース」地域や「シンク」地域、および種の移動を妨げそうな地理的障壁が読み取れる。このデータから、生物が好ましい気候をどこまで追えるかという可能性に、地理的連結と物理的障壁(多くは沿岸線)が重大な影響を及ぼすことが明らかになった。今回の研究は、高温地域と低温地域を結ぶ「移動の回廊」が生物多様性を維持する手段として重要であることを強調している。
2014年3月27日号の Nature ハイライト
神経科学:神経変性に対抗するRESTタンパク質
遺伝学:ヒトの転写をマッピング
宇宙:準惑星セドナは独りぼっちではなかった
低温物理学:複雑粒子の散乱
気候科学:メタン放出は温度変化の影響を非常に受けやすい
気候科学:変動する気候下での生物種の移動性
進化:無顎から有顎への移行
神経科学:急速眼球運動で素早く見る
免疫:TFH機能におけるAscl2の役割