Nature ハイライト 宇宙:電波で捉える宇宙の謎の正体 2005年5月19日 Nature 435, 7040 地球は、宇宙線という宇宙からの高エネルギー粒子の衝突を絶えず受けている。これらの粒子は宇宙のさまざまな線源からやってくるが、エネルギーの最も高い宇宙線の起源はいまだに謎である。これらの超高エネルギー宇宙線(UHECR)は、銀河系の彼方からやってくるように見える。しかし理論からすると、そのような粒子は減速して最終的には吸収されるため、宇宙空間をそれほど遠くまで進めないはずである。 この謎を解決するためには、まず粒子の正体を知る必要がある。これらは、原子核、陽子、あるいは非常に軽い粒子であるニュートリノ、さらにはガンマ線かもしれない。今週号でH Falckeらの国際研究チームが、これら宇宙線の正体を安価な電波検出器アレイで明らかにできるかもしれないことを示している。 UHECRが空気中の気体原子に衝突すると、高速で運動する電子などの荷電粒子のシャワーが発生する。これらの二次粒子が地球磁場中を進むと電波を放射する。Falckeらはドイツのカールスルーエに、デジタル信号検出回路に接続した電波アンテナのアレイを設置した。カールスルーエのセンターには、宇宙線の衝突によって発生する粒子シャワーを発見するための検出器アレイも設置されている。電波アレイで検出された電波信号が、そのような粒子シャワーと同時に発生したことにより、電波信号がまさしく宇宙線の証拠であることが示された。これらの測定をうまく組み合わせれば、宇宙線の正体を推論できるはずだ。UHECRは非常にまれだが、このように安価な電波アレイによって空のほぼ連続的な監視が可能になり、UHECRの検出率が向上するかもしれない。 2005年5月19日号の Nature ハイライト 地球:人工衛星が明らかにした浅発地震の力学 考古:ヨーロッパ最古の現生人類の骨 医学:精巣癌遺伝子の同定 宇宙:電波で捉える宇宙の謎の正体 物理:光格子時計で時間計測を新しい限界へ : 目次へ戻る