Nature ハイライト
Cover Story:テナガザルゲノム解読:テナガザルのゲノムには、染色体の迅速な進化と複数種へのほぼ同時に起こった放散が映し出されている
Nature 513, 7517
表紙は、「ペッパー」という名前が付けられた生後5か月の雌のキタホオジロテナガザル(Nomascus leucogenys)である。テナガザル類の多くの種は東南アジア原産の小型の樹上生活類人猿であり、そのほとんどがIUCNリストで絶滅危惧種に指定されている。L Carboneたちはキタホオジロテナガザルのゲノムを報告し、旧世界ザルと大型類人猿との分岐点にまたがっている動物群の生物学的性質と進化史に関して、興味深い考察を行っている。著者たちは、テナガザルに特有の新規レトロトランスポゾンがテナガザルゲノムに可塑性を付与した仕組みと考えられるものを調べた。核型の迅速な進化は、気候および環境に複数回生じた変化と組み合わせて、テナガザルでほぼ同時に起こった4属への分岐を説明できるかもしれない。前肢の発生および結合組織に関わる遺伝子に対する正の選択は、熱帯雨林の林冠でのテナガザル特有の移動方式に関係した可能性がある。
2014年9月11日号の Nature ハイライト
化学:構造がはっきりしている複雑分子のアセンブリーライン合成
神経科学:世界を理解する仕組み
がん:胃腺がんを4つに分類する
宇宙:クエーサーのばらつきの原因
材料:単層二硫化タングステンにおける励起子過程
大気科学:大気中のヒドロキシルラジカルの南北分布
環境:道路建設のロードマップ
植物科学:植物での気孔形成の制御
構造生物学:TARBP2は転移抑制タンパク質を不安定化する
構造生物学:光化学系IIの構造のX線を使って得られたスナップショット