Nature ハイライト

構造生物学:TARBP2は転移抑制タンパク質を不安定化する

Nature 513, 7517

メッセンジャーRNA(mRNA)内の一次元的な配列エレメントは、マイクロRNAなどの調節因子の標的となって分解されることが知られており、このような過程は疾患と関連するとされている。S Tavazoieたちは、同質遺伝子のヒト乳がんのうち、転移性の低い細胞株と高い細胞株で、全ゲノムの転写産物の安定性を計測して、これまでに知られていなかった経路を明らかにした。mRNAの不安定化はこの経路を介して乳がん転移を誘導すると考えられる。著者たちは、マイクロRNAプロセシングを仲介するとされているタンパク質TARBP2のレベルが、転移性の細胞や転移性のヒト乳がんで上昇していることを見いだした。TARBP2は、アミロイド前駆タンパク質(APP)とZNF395の転写産物の不安定化により働くようである。これらの2つのタンパク質はこれまで認知症と関連付けられていたが、乳がんの転移抑制因子でもあることが今回明らかになった。

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