Nature ハイライト
材料:単層二硫化タングステンにおける励起子過程
Nature 513, 7517
グラフェンのオプトエレクトロニクスの登場により、ほぼ透明な二次元半導体材料の開発が活発になっている。極薄電子デバイスの構成要素として大いに注目を集めているのは、二硫化モリブデンや二硫化タングステンなどの、極めて用途が広いと考えられる遷移金属二カルコゲン化物である。こうした材料の異常に強い光–物質相互作用の物理的起源はまだ明らかになっていない。この分野で活発に論じられているのは、光によって発生した電子–正孔対である励起子がこのような低次元系でどのようにふるまうかという問題である。今回X Zhangたちが、単層二硫化タングステンにおいて一連の二次元励起子暗状態を発見したことを報告している。この状態は強い結合エネルギーを持ち、そのエネルギーの軌道運動量への依存性は、従来の(三次元の)ふるまいから大きくずれている。この発見は、基礎研究に新たな道を開き、光検出器や光電池などのデバイスを設計する新たな機会を生み出す。
2014年9月11日号の Nature ハイライト
化学:構造がはっきりしている複雑分子のアセンブリーライン合成
神経科学:世界を理解する仕組み
がん:胃腺がんを4つに分類する
宇宙:クエーサーのばらつきの原因
材料:単層二硫化タングステンにおける励起子過程
大気科学:大気中のヒドロキシルラジカルの南北分布
環境:道路建設のロードマップ
植物科学:植物での気孔形成の制御
構造生物学:TARBP2は転移抑制タンパク質を不安定化する
構造生物学:光化学系IIの構造のX線を使って得られたスナップショット